「戦隊ヒーローって、ほんとに正義なの?」
そんな疑問から始まるアニメがあるとしたら、ちょっと気になりませんか?
それが今回ご紹介するアニメ『戦隊大失格』です。
この作品は、週刊少年マガジンで連載された春場ねぎ原作の同名漫画をアニメ化したもので、2024年4月から放送がスタートしました。
春場ねぎといえば『五等分の花嫁』の作者として有名ですが、本作はその甘酸っぱいラブコメとは一線を画す、かなりダークでスリリングな内容なんです。
王道戦隊ものの設定を借りながらも、まったく新しい視点で描かれているのが最大の魅力。
普通、戦隊ものといえばヒーローが悪の怪人を倒して世界を守る、っていうテンプレがありますよね。
でも『戦隊大失格』では、その「悪」の側――つまり怪人戦闘員の視点から物語が始まるんです。
しかも、戦う相手の戦隊ヒーローたちが、必ずしも“完全無欠な正義”というわけではないっていうのが面白い。
物語の舞台は、13年前に突如現れた浮遊城から怪人軍団が出現し、それに立ち向かう「竜神戦隊ドラゴンキーパー」との戦いが続く世界。
……のはずなんだけど、実はその戦いはすでに終わっていて、怪人幹部たちは全滅。
残された下っ端戦闘員ダスターズは、地上と浮遊城の間で密かに結ばれた協定により、毎週日曜に“やられ役”として出撃し、わざと倒される茶番劇を繰り返していたんです。
その現実に絶望した戦闘員Dが、ついに仮面を脱ぎ捨て、人間に変身して戦隊に潜入し、内部からの打倒を狙う――ここが本作の核になるプロット。
この設定、かなり斬新じゃないですか?
「悪の戦闘員が正義の戦隊に潜入する」っていう構図は、単なるアクションやバトルだけじゃなくて、スパイ映画のようなスリルも楽しめます。
キャラクターも個性的な人物ばかり。
主人公の戦闘員Dは、冷静でクールな反面、意外と人間味のあるところがあったりして、見ていて共感できる場面が多いんですよ。
敵側にあたるドラゴンキーパーたちは、表向きには国民的ヒーローだけど、その実態はかなり黒い部分を抱えていて、そこもまた深掘りが進むと見ごたえがあります。
アニメーション制作を手掛けているのはYostar Pictures。
さとうけいいち監督(『TIGER & BUNNY』『いぬやしき』など)による演出は、映像面でも圧倒的なクオリティを誇っています。
アクションシーンはもちろん、キャラクター同士の微妙な感情のやり取りも繊細に描かれていて、見ているこちらの心をグッと掴んでくるんです。
さらに、オープニングテーマにはORANGE RANGEの「マジで世界変えちゃう5秒前」、エンディングには梟noteの「正偽」が起用されていて、作品の世界観にぴったりハマっているのも魅力のひとつ。
映像と音楽の相乗効果で、毎回のエピソードがよりドラマチックに感じられます。
あと、余談ですけどOPの中毒性が高すぎて、気づいたら口ずさんでるなんて人も多いはず。
物語が進むにつれて、戦闘員Dの存在に疑問を持つキャラが現れたり、戦隊内部の闇が徐々に明かされたりと、サスペンス要素も強まっていきます。
ヒーローアニメでここまで“組織の腐敗”を描く作品って珍しいですよね。
そのリアルさと重厚さが、戦隊大失格を「子ども向け」ではなく「大人が観ても面白い作品」へと引き上げているんです。
今までの戦隊ものが苦手だった人にも、ぜひ観てほしいのがこの作品。
むしろ「ヒーローに憧れたけど現実は違った」っていう大人の視点だからこそ、刺さる内容なんじゃないかなと思っています。
それくらい、従来のフォーマットに縛られない自由な発想と、しっかりとした人間ドラマが融合してるんですよ。
また、ディズニープラスでの独占見放題配信という点も見逃せません。
すでに話題になってる作品ですし、今から観ても遅くない。
むしろ、これからどんどん盛り上がっていく展開が控えていると思うと、今が一番いいタイミングかも。
「戦隊大失格」――ヒーローアニメという枠を超えた、社会風刺とエンタメの融合作品として、2024年最大級の注目アニメであることは間違いありません。
気になった方は、まず1話を観てみてください。
たった30分で、あなたの“ヒーロー観”が覆されるかもしれません。